誰もが毎日、何度も利用するトイレ。

トイレ水漏れ

一人暮らしで、日中はお仕事などで外出している方であっても、一日に3~5回程度はトイレを利用します。家族数人で暮らしていたり、自宅で過ごす時間が長い方であれば、その頻度はさらに高まります。

そんなトイレには、大小さまざまなトラブルがつきもの。中でも起こりやすいトラブルのひとつが、トイレ水漏れです。

 

しかし、トイレ水漏れを修理業者にお願いすると、どれほど安くても3,000円以上の修理費用がかかります。いざ見積もりを依頼してみると、あれもこれもとオプションが追加され、気付けばかなり高額になってしまった……。そんなもめごとも珍しくありません。

また、依頼した修理業者の動きが遅く、見積もりや部品のオーダーなどに時間を要し、何日経っても水漏れ故障が解消されないというケースも。

そのため、水漏れ修理を自分でしたいと思う方は非常に多いのです。

 

「でも、水回りの修理なんて自分でやったことないし……」

「そもそもどこから水漏れしているかさえ分からない……」

 

どうぞご安心ください。

 

今回は、そんなお悩みをお持ちの方に向けて、水漏れの種類や対処方法、トイレの構造などを分かりやすく解説しています。

いずれもトイレ水漏れ修理に役立つ情報ばかりですので、ぜひ最後までご覧ください。

 

トイレ水漏れには大きく4つのパターンがある

トイレ水漏れは、大きく4つのパターンに分けられます。

どこから水漏れしているかによって対処方法は大きく異なりますので、まずは水漏れ箇所を特定します。ほとんどの場合、水漏れ箇所は目で見てすぐに判別出来るのです。

 

  • 水道の管や止水栓の接合部分からの水漏れ
  • トイレ床の水漏れ
  • ウォシュレット・温水洗浄便座からの水漏れ
  • トイレのタンク内部での水漏れ

 

次の段落から、それぞれ順を追って確認していきます。

 

水道管や止水栓の接合部分での水漏れ

水道管の水漏れ

トイレのタンクと壁の止水栓を接続する給水管ですが、こちらの水道管や止水栓より水漏れの場合、原因は以下の2つが想定されます。

  • 接合部分を留めるネジ・ボルトの部分が緩んでいる
  • 経年劣化によってパッキンに亀裂ある

 

上記が原因で緩んでトイレのタンクや便器の中で水漏れしている場合は、緩んだ箇所をしっかり締め直すことで解決することも多くあります。ボルトやナットなどの部品は、トイレを日々利用することで少しずつ緩んでしまいますから、水漏れが発生していなくても、定期的に締め直すようにすると安心です。

 

一方、パッキンに亀裂がある場合は、部品の取替が必要です。

水漏れしている量が余り無い時には、出ている箇所に融着のテープを巻いて応急処置ができます。水の流れをせき止められるよう、水漏れ箇所の上下2cmほどにかけて、何度か重ねてしっかり巻きつけるようにしましょう。

もちろん、これはあくまで応急処置でしかありませんから、対応するパッキンを探して早めに交換してくださいね。

 

トイレ床からの水漏れ

トイレの床水漏れ

トイレ床で水漏れが起きている時は、以下の原因である事が考察できます。

  • 便器の取付による不具合
  • フランジパテ(便床下排水パイプと便器をつなぐ部品)の劣化

 

トイレの便器を設置する際、便器と床の排水管をつなぐ接合部分がうまくはまっていないと、その部分から水漏れが起こります。新しく便器を交換した直後や、トイレ修理をする際に便器を床から取り外した直後に床より水漏れが起きた時には、排水管の接合部分のずれを疑うといいでしょう。

 

また、トイレの床からの水漏れは、フランジパテの老朽化でも起こります。この場合には部品の交換が必要となります。

 

洗浄機能付便座部分からの水漏れ

洗浄便座の水漏れ

近年では沢山の住まいに拡がっているこの便座ですが細かな部品が沢山使われ、それらの一部が劣化することで水漏れが発生する恐れがあるのです。とりわけ多いのが、温水が出るシャワーノズル部分や操作パネルの下側、便座の脇からの水漏れです。

 

こうした水漏れのほとんどは、部品交換が必要となります。部品の種類によっては取り寄せが必要な場合や、すでに廃盤となっている事もあり、修理を終えるまでに時間がかかるケースが目立ちます。

このタイプの便座から水漏れの場合、トイレ本体機能には問題がないことがほとんど。そのため、修理が完了するまでは温水洗浄などの機能を使用せずにおくことで、水漏れの被害を最小限に抑制する事が出来ます。

 

温水の洗浄便座と言うのは家電製品なので、触る際には必ず電源プラグを抜いてから対応するようにしましょう。

 

トイレタンク内の水漏れ

トイレタンクの水漏れ

トイレをレバーを回し流した後、水が少しずつ流れ続けているなど、タンク内での給水音が、ぜんぜん止まらない場合は、タンクの中で水漏れが発生している恐れがあります。

これまで解説してきた水漏れは、いずれも目に見える箇所に水が流れ出てくるもの。そのため早期に気付きやすいのですが、トイレのタンク内で水漏れの場合、すぐには気付けない可能性もあるので注意が必要です。

 

タンクの中での水漏れは、修理しない限りいつまでも水が出続けてしまうので、長く気付かずにいると水道代が高額になる恐れも。しばらく誰もトイレを使用しないのに、ずっとポタポタと小さな水音が鳴っている場合は、真っ先にトイレタンク内の水漏れを疑うようにしましょう。

また、以前と比べて水圧が弱まってきたと感じた時も、すでに小さな水漏れが発生していたり、水漏れが起こる予兆の可能性があります。こうした予兆を見逃さず、早めに対処することが大切です。

 

トイレのタンク内で起った水漏れには、考えられる原因が多くあり、その修理方法もさまざまです。

そこで、次の段落からは、トイレタンク内での水漏れへの対処法を更に詳細にご説明して行こうと考えています。

 

まずはトイレタンクの構造を理解しよう

タンクの水漏れに備えるためには、その構造を知ることが肝心だと言えます。この段落では、そんなタンクの構造を分かりやすく解説します。

 

一般的に、トイレのタンク構造は大きく下記6つの部品で構成し作られています。

  • レバーハンドル
  • フロート弁(ゴムフロート)
  • オーバーフローの管
  • 排水管
  • 浮球(浮き玉)
  • ボールタップ
  • 手洗い管

 

 

他にも各部品をつなぐ細かな部品もありますが、タンクの動きに大きく関わるものは上記の6つです。

それぞれの部品の役割について、詳しく見ていきます。

 

レバーハンドル

トイレのレバーハンドル

トイレタンク内でフロート弁と繋がっており、レバーハンドルを引くことでフロート弁を持ち上げられます。

レバーハンドルを引かず、リモコン操作で水を流すタイプもも増えていますが、タンクの構造はおおむね同じとなっています。

 

フロート弁(ゴムフロート)

フロートバルブ

排水管のフタの役割を持っており、多くは黒いゴムでできています。フロート弁の開閉によってトイレタンク内の水を便器内へ流す事や、ストップさせたりしています。

 

オーバーフローの管

サイフォン管

トイレのボールタップや浮球に不具合が起こった場合に、タンク内の水を便座内に排出し、タンク部分から水が溢れ出すのを防いでくれる部品です。

オーバーフロー管は意外に柔らかく、特に根元部分が折れやすくなっているため、トイレタンク内で作業する際にはうっかり当たってしまわないよう気を付けてくださいす。

 

排水管(洗浄管)

洗浄管

トイレタンクと便器を繋ぐ、排出用の管です。フロートの弁部分が開くと、タンクに貯まった水を便座内に排出します。

 

浮球(浮き玉)

浮き球

トイレタンク内の水位に対応して上や下に動き、ボールタップを開閉する役割を持っています。

 

ボールタップ

ボールタップ

トイレタンク内に給水する水栓金具です。

 

手洗い管

手洗い管

ボールタップから伸びる、手洗い部分に給水するための管です。ボールタップが閉じると、手洗い管からの給水も止まります。

手洗い部分自体がないタイプのトイレの場合もあります。

 

続いて、タンクの中で水が流れる仕組みを説明します。

 

  • レバーハンドルを引く
  • レバーハンドルとチェーンで繋がれたフロート弁が上に動き、排水管の口が開く
  • 排水管を通じて、トイレタンク内の水が便器内に流れ出す
  • トイレタンク内の水位が下がるにつれて、浮球が下に下がり始める
  • 浮球が下がることでボールタップの止水が開く
  • ボールタップが開いたことで、ボールタップの排出口と手洗い管から水が流れる
  • タンクの水がなくなると、フロート弁が閉じる
  • ボールタップの排出口から出る水が、トイレタンク内に溜まり始める
  • 水位が上がり、浮球が上に押し上げられる
  • 浮球が持ち上がることでボールタップが閉まり、排出口と手洗い管の水が止まる
  • ボールタップや浮球が故障し、水位が上がりきっても給水がストップしない場合は、オーバーフロー管を通じて便器内へと水が排出される

 

まるでドミノ倒しのように、ひとつ前の動作が次の動作に繋がっていくことがお分かりいただけるかと思います。「レバーハンドルを引けば水が出る」というのは当然のこととして認識していますが、トイレタンク内でこれほどさまざまな部品が動いているとは驚きですよね。

タンクの蓋を開けてレバーハンドルを引いてみると、こうした部品の動きがよく分かります。それぞれの動きを見て、その役割を目で確かめることは、今後の水漏れ修理の際にもきっと役立ちます。お時間に余裕がある時に、一度見てみてはいかがでしょうか。

 

タンクの構造を理解できたら、次は水漏れの原因を確認しましょう。

 

トイレのタンク内で起こる水漏れの原因

タンクの中でポタポタと水漏れが発生している時は、その原因となりやすい部品は下記の4つです。

  • ボールタップ
  • 浮球
  • フロート弁
  • オーバーフロー管

 

この時、水漏れ箇所の特定に重要となるのが、オーバーフロー管の存在です。

 

まずはトイレタンクのフタを開けてみましょう。

直径2cmほどの管が1本、トイレタンク内に立っていると思います。これがオーバーフロー管です。トイレタンク内の水位が、この管よりも上まできているのであればボールタップや浮球が。管より下に留まっているのであれば、フロート弁が水漏れの原因となっていると想定されます。また、オーバーフロー管自体が損傷し、水漏れの要因となっていることも考えられます。

 

続いて、それぞれの部品が損傷した場合の対処方法をご紹介します。

 

初心者でもできる!トイレタンク内の水漏れの対処方法

初心者

いよいよ、トイレタンク内の水漏れを修理していきましょう。

トイレ水漏れ修理には、専門の修理業者が数多く存在しているくらいですから、ある程度の知識や手先の器用さが求められます。また、注意して対処しないとトイレ本体を破損してしまい、思いもかけず高額な修理費用が必要となる可能性もあるため、作業には細心の注意を払うようにしましょう。

 

そんな困った状況に陥らないように、まずはトイレ水漏れ修理時に気をつけるべきことから解説します。

 

作業を始める前に行っておくべきこと

水漏れが発生したら、まず第一に止水栓を閉めておこう

止水栓を閉める

どの部品から水漏れが発生しているにしても、水漏れが発生した時点で、必ずトイレの止水栓を止めるようにしましょう。水が流れ出していては修理作業の邪魔になりますし、無駄に水を垂れ流して、水道代が高額になってしまう恐れもあります。

トイレの止水栓においてはドライバー式とハンドル式が存在します。多くの場合、マイナスドライバーで右に回せば止水栓を閉める事が出来ます。ハンドル式であれば、水道の蛇口をひねる感覚で止水栓を閉めることができますよ。こちらも多くは右回しとなっています。

 

トイレの止水栓は、トイレタンクと壁を繋ぐ給水管のところに設けられていることが殆どです。多くはトイレタンクの脇や、下部分に設置されています。

洗浄便座を利用しているのであれば、初めかの止水栓に分岐金具が付いていて、それにも止水栓付属されています。トイレ本体の止水栓と洗浄便座で使う物を間違えの無いよう注意しましょう。

 

止水栓の部分が固なり回らない時や、見当たらない場合は、家屋全体の元栓を閉めて対応するようにします。固い止水栓を無理に回そうとすると、配管を傷つけてしまい、水漏れ被害が拡大してしまう恐れもあります。

 

温水洗浄便座は電源を抜いておこう

コンセント

温水洗浄便座は電化製品なので、水漏れの水や、作業時の飛沫がかかって故障してしまう恐れがあります。また、作業中の感電事故を未然に防ぐためにも、トイレ内で水漏れを確認次第、すぐに温水洗浄便座の電源を抜くようにしましょう。

 

外した部品を置くためのスペースを確保しておく

トイレ水漏れを修理する前には、外した部品を置くためのスペースを事前に確保しておきましょう。部品は濡れている事が多々あるので、汚れてもいいバスタオル等を敷いておくといいですね。

細かな部品だけならいいのですが、トイレタンクのフタや、場合によってはトイレタンク本体を外さなければならない可能性もありますので、広めのスペースを確保していると良いです。

 

トイレタンクのフタを取り外す時は破損に注意!

続いて、トイレタンクのフタとカバーを取り外します。トイレタンクのフタは重いので、手荒に扱ったり、落としたりして割らないように気を付けましょう。

トイレタンクのフタや便座が割れてしまうと、数万~数十万円もの修理費用がかかってしまいます。水漏れの修理費用を浮かせようとしていたはずなのに、さらに高額の修理費用が発生してしまっては元も子もありませんよね。

 

上部に上げるのみであっさりと取れるトイレタンクのフタもある一方で、手洗い管の金具とじゃばら管の接合部分を外さなければならないタイプのフタもあります。

手洗い管とじゃばら管の部分は、ネジで取付されていることが多いです。このタイプのフタを取り外す場合は、事前にナットを外しておきましょう。

 

作業の邪魔にならないよう、トイレタンク内の水は排出しよう

止水栓を閉めた後は、レバーハンドルを回し、トイレタンク内の水を抜きます。こうすることで、格段に作業がしやすくなります。

この際、水を抜く前に水漏れ箇所の特定を済ませておくのを忘れないように気をつけましょう。前述のとおり、トイレタンク内の水漏れ箇所は、水位がオーバーフロー管の上か下かによっておおまかなアテをつけることができます。これを把握しておくとその後の作業がスムーズになりますので、忘れずに対応してくださいね。

 

作業時はオーバーフロー管を折る事にない様に注意!

トイレタンクには何種類ものパーツで構成しているのです。なかでも、トイレタンク内に屹立しているオーバーフローの管は、部品を取り外したり、部品同士の絡まりを解こうとする際に頻繁にぶつかってしまう部品です。この衝撃でオーバーフローの管部分が折れ亀裂が入ってしまうと、そこからタンク中の水が便器内へと漏れ出してしまう原因となります。

水漏れを修理しようとして、新たな水漏れの原因を作ってしまっては本末転倒です。作業時には、うっかりオーバーフロー管に触ってしまわないよう注意を払いましょう。

 

部品を買い換える時は品番をしっかり確かめて

せっかく部品を買い替えてもトイレの型と合っていなければ、上手く付けられなくなり接合部分から水漏れが発生してしまう可能性があります。部品を無駄にしないためにも、事前に品番を確認したうえで買い替えに臨むようにしましょう。

トイレの型が古いと、すでに部品が廃盤となっているケースもあります。その場合は形の近しい類似品を見繕って取り替えるか、トイレタンク自体を交換する必要があります。まずはトイレメーカーに問い合わせしてみるといいでしょう。オーバーフロー管のような破損しやすい部品は、事前に予備の部品を買っておくというのも手です。

 

前置きが長くなりましたが、ここまでできたら、いよいよ水漏れ修理の始まりです。

 

ボールタップによる不具合で水漏れしている場合

ボールタップは、トイレタンク内への給水を司る水栓金具です。接合部分にはパッキンが使われていますが、経年劣化などでパッキンに亀裂が入ると、そこから水漏れが発生してしまいます。その場合はパッキンを取り替えることで、簡単に水漏れを修理することができます。

また、ボールタップの接合部分が緩んでいても水漏れが発生しますので、まずは接合部分をきつく締め直してみて、水漏れが改善するかどうかを確認するといいでしょう。

 

ボールタップ自体の部品を交換しようとなると、同じ品番のボールタップを見つけなければなりません。ボールタップなんですが、通販サイトやDIYショップなどで販売されています。

種類が異なるボールタップを選んでしまうと、せっかく交換しても、接合部分などから結局水漏れしてしまう可能性があります。ボールタップを探す時は、必ずトイレの品番を確認し、間違わないように気をつけましょう。

トイレの型が古い場合、ボールタップが廃盤となっている可能性もあります。その場合は類似品を見つけなければなりません。自分の力だけで類似品を探し出すのは難しいでしょうから、トイレメーカーに問い合わせするといいでしょう。

 

浮球が原因で水漏れしている場合

穴や亀裂によって浮球の浮力が失われてしまうと、水位が上がっても浮球が持ち上げられず、ボールタップからいつまでも水が流れ出してしまいます。

亀裂が小さい場合、損傷部分を融着テープで塞ぐことで応急処置することも可能ですが、最終的には浮球自体の交換が必要になるケースがほとんどです。トイレの型を確認し、同じ型の浮球を購入して付け替えましょう。浮球の交換自体はそこまで専門性を求められるものではないので、ドライバーなどの道具があれば簡単に行えます。

 

また、節水目的でタンク中にペットボトルを入れていると、浮球が引っかかってしまい、うまく上下に動かなくなってしまう場合もあります。またタンク中に異物を入れるのはこうした水漏れの原因となりますので、なるべく何も入れないようにするのがベストです。

 

フロート弁が原因で水漏れしている場合

排水管のフタとしての役割を担うフロート弁ですが、このフロート弁が元の位置に戻らなかったり、位置がずれたりすると、便器の排水部分にいつまでも水が流れ続けてしまいます。

フロート弁が起因した水漏れの場合は、他の部品が原因での水漏れに比べ、簡単に対処することが可能です。

 

レバーハンドルとフロート弁を繋ぐチェーンに問題がある場合

チェーンが他の部品に引っかかっていたり、長さが適切でなかった場合は、フロート弁が元の位置に戻らず、水が流れ続ける原因となってしまいます。他の部品に引っかからないようにするためにも、チェーンは長すぎず短すぎずが大切です。玉鎖の場合は玉を2~3個程度、リング形状のチェーンの場合はリングを2輪ほどあまらせて、チェーンの部分を張りすぎずあまりすぎない状態を保ちましょう。

タンクの中にペットボトル等を入れるという節水方法はよく知られていますが、このペットボトルにチェーンが絡まり、フロート弁が閉まらなくなってしまうケースも散見されます。節水したくて入れたはずのペットのボトルが、無駄に水を流す原因になっては元も子もないのです。どうしてもペットボトルを入れたい場合は、チェーンが引っかからない位置にしっかり固定しておくといいですね。

 

フロート弁の周囲に異物が挟まっている場合

また、フロート弁の周囲に異物が挟まっていないかどうかも確認しましょう。たとえ小さなゴミであっても、フロート弁と排水口の間に隙間ができてしまうと、水がチョロチョロと流れ続ける原因となってしまいます。この場合は、異物を取り除くことで簡単に水漏れを改善することができます。

 

トイレタンクの中には、気付かないうちに汚れが沈殿しているものです。たとえ水漏れがなくとも定期的にトイレタンク内を確認し、溜まった異物はあらかじめ取り除く習慣をつけておくといいでしょう。そうすることで、異物の混入以外の異常にもいち早く気付くことができ、損害を最低限に抑える事が出来るのです。

 

フロート弁自体が劣化してしまっている場合

フロート弁自体の劣化によって、元の位置に正しく戻らなくなってしまうケースもあります。この場合はフロート弁そのものを交換しなければなりませんが、サイズの合うフロート弁さえあれば、簡単に付け替えることが可能です。

 

フロート弁の劣化具合は、素人目にはなかなか分かりづらいものです。一般的に、フロート弁の寿命はおよそ10年ほどといわれていますが、使用頻度の高い家庭においては劣化が進みやすいため、7~8年程度で交換が必要になる場合もあります。

前の状態と比較して水の圧力が強く成ったり、水が流れている時間が長く成ったと感じたら、フロート弁を交換する時期がきたのかもしれません。実際にフロート弁を触ってみて、手に黒い汚れがついたり、ゴムがブヨブヨと柔らかくなっていたら変え時ですよ。

 

オーバーフローの管が原因で水漏れしている場合

水位が上昇しすぎた際、トイレタンクから水が溢れ出すのを防ぐ役割を担うオーバーフローで使う管ですが、根本から折れるトラブルが起こりやすい部品でもあります。

オーバーフロー様の管が根本部分より折れてしまったり、亀裂が入ったりすると、そこから水が流れ出してしまい、時間がたってもトイレタンクの水位が上昇しなくなります。タンク内への給水を止めるには、水位を上昇させて浮球を持ち上げ、ボールタップを閉じる必要があるので、水位が上がらないといつまでも水が出つ続ける事になります。

 

触ってみると分かりますが、オーバーフロー管は意外に柔らかく、折れたり亀裂が入ったりしやすいという欠点があります。こうした破損を防ぐためには、

  • トイレタンク内で作業する際にはオーバーフロー管に触らない
  • 節水用のペットのボトルをタンク中に入れないようにする
  • タンクに入れて使用するタイプの洗浄剤を使わない

などに気をつける必要があります。

とりわけオーバーフロー管の根元部分はもろく、ペットボトルや洗浄剤がぶつかるだけで折れてしまうことも珍しくありません。こうしたペットボトルや洗浄剤は、トイレタンク内の水位が変動するたびに動きますから、トイレの使用頻度が上がるにつれて破損の危険性が高まると考えていいでしょう。どうしてもこれらをトイレタンク内で使用したい場合は、トイレを使用するたびに動かないよう、しっかりと固定しておくことをオススメします。

 

折れてしまったり亀裂が入ったオーバーフロー様の管は、フロート弁のチェーンを外せば簡単に取り外しができます。フロート弁のチェーンは、基本的にタンク底の裏側にある締め付けナットで固定されていますので、モーターレンチやパイプレンチを用いて外しましょう。

応急処置として、折れたオーバーフローの管を瞬間で付く接着剤で直したという方もいらっしゃいます。付け替え用のオーバーフロー管が手に入るまではこうした対応で急場をしのぐのもひとつの手段ですが、接着部分から水漏れしないよう、融着テープなどでしっかりと補強しておくといいですね。

 

トイレタンクの中における水漏れ修理の仕上げ

水漏れの原因となっていた部品の交換や、結合部分の締め直しが完了したら、最後にトイレを正常に使える状態へと戻しましょう。

 

まずは閉めていた止水栓を開き、トイレのタンク内で標準水位あたりで水が止まるかどうかをチェックします。基本的に、フロート管の先の部分から2センチ~3センチほど下あたりが標準水位といわれています。

標準水位よりも水が多くなり、少なくなった場合には、浮球を回して水位の調整を行いましょう。水位の調整は、ボールタップ自体の付けね部分にある調整様の弁(ナット)を回して行います。このボルトを時計回りや反時計回りに回すことで浮球の位置が動きますので、標準水位あたりで浮球が完全に持ち上がるように調整しましょう。

 

まとめ

今回は、トイレ水漏れを自分で修理したいという方のために、トイレタンク内の構造からその修理方法までをおまとめしました。

ひとくちに「トイレ水漏れ」といってもその原因にはさまざまあり、対処方法も大きく異なるということがお分かりいただけたでしょうか。

 

普段はまずめったに覗くことのないトイレタンク内ですが、その構造と対処方法さえ分かっていれば、誰にでもトイレ修理は可能です。

みなさんも、ぜひこの記事を参考にしながら、ご自身の手でトイレ修理に挑戦してみてください。